時差ぼけも治らぬまま、八月納涼歌舞妓へ行って参りました。歌舞伎座の八月納涼歌舞妓は夏休みという事もあり、三部制になっており、
より初心者が訪れやすく構成されています。
いつもチケットを取ってくださり応援しております
中村亀鶴さんが出ていらっしゃるということも
ありますが、
私、中村屋 中村七之助さんの
大・大・大ファンなのです💗💗
(昨年10月の中村芝翫襲名披露公演の「女暫(おんなしばらく)」の
静御前のかっこよさ・色っぽさに
鼻血が出そうになりましてからのファンなのです💗)
今回私が拝見したのは第一部の
刺青奇偶(いれずみちょうはん)玉兎(たまうさぎ)団子売
第二部の時間帯にランチとホテルでの休憩を経て、
第三部の
野田版 桜の森の満開の下
まず、時差ぼけで一睡もせず,機内でも眠れず歌舞伎座へ滑り込み第一部の始まりです。
(刺青奇偶) 第一部の刺青奇偶では、坂東玉三郎の当たり役であった 酌婦 お仲を
七之助が演じます。
ストーリーは・・江戸時代、賭博打ちの半太郎(中車)は、
方々に身を売られ続けて河に身投げをしたお仲(七之助)を偶然救い出す。
助けた上に財布まで渡す半太郎に、(どうせ今までの男たちと同じように)
恩をかけておいて見返りは体なのだろうと半太郎にしなだれかかるが、
「見損なうな!」という半太郎に、真実の親切心から自分を救ってくれた事
に気づき、心根に打たれ追いかけていき女房にしてもらう。
南品川にひっそり身を隠して住んでいる半太郎・お仲の夫婦なのだが
お仲は病の床についていて、日に日に悪くなっていく模様・・
自分の先が長くないと悟ったお仲は半太郎に後生のお願いと行って、
その腕に刺青をいれる・・それは賽子(サイコロ)の刺青で是を見るたびに
博打はよくないと思い出してほしいという。
半太郎は涙にむせび、博打をやめる事を誓い、しかしお金を作るため
賭場荒らしという危険な行為に及ぶ。
亀鶴さん演じる博徒赤っぱ猪の太郎にさんざん打ち据えられるも、
鮫の政五郎が事情を聞き半太郎に
その命をかけた勝負をしようと言い出す。
最後の賭博・・と決心して半太郎は勝負し勝つ。
政五郎は約束通り大金の入った財布を渡し、半太郎は妻の元へ急ぐのだった・・
長谷川伸さんの原作を坂東玉三郎と石川耕二が演出され、お互いがお互いを
思い合う情愛の切なさ、誠実さ、人の情けが美しい舞台の中に浮かび上がり・・
言葉も分かりやすく、号泣必至の演目です😢
(友人に気づかれないようそっと涙を拭います・・)
この幕が終わりまして、
いつものように友人と中村亀鶴さんの楽屋を訪れます。
(時差ぼけで顔が腫れているので写真はとっておりません💦)
亀鶴さんとお話ししていると
「今日は隅(はん)だったね〜」
と暖簾を上げてのぞいていらっしゃるのは
中車さん!!
最後の半太郎の賭け、リアルにサイコロを降っていらっしゃるそうなのですが、
奇(ちょう)偶(はん)か亀鶴さんと賭けていらっしゃったのだそうです。
(もちろん、お金をかけていらっしゃる訳ではありません!念のため)
そんな楽屋ならではの役者さん同士の、力の抜けた楽しいやり取りを拝見させて
頂き、またまた大歓迎でした💗
長谷川伸さんはご自身が大変苦難に満ちた人生を送って来られているので
その影響が作品にも出ており、この刺青奇偶もその一つなのだそうです。
長谷川伸さんの作品また見てみたいと思いました。
(玉兎)
ここからは 中秋の名月を先取りした演目が続きます。
と〜〜ても可愛い 勘太郎(中村勘九郎のご長男で、6歳!)
が月の兎を演じて踊ります。
先ほどまでの緊張がほどけて、笑いと拍手が客席を包みます。
(団子売)
今度はお父様の勘九郎と猿之助が夫婦で団子売りの踊りを踊られます。
中秋の名月にちなんだ演目ですが、江戸後期には庶民も豊かになり、団子売りが
踊りを踊って団子を売る様はよく見られたそうです。
これも江戸の町が鮮やかで晴れやかな踊り・・
そして華やかに幕がとじあっという間の第一部が終わります。
時差ぼけなどなんのその、笑いあり涙ありあっという間。
やっぱり、飛んで来てよかった😊
1時半から6時まで友人とランチをしたり、私はホテルに戻って休憩しまして
楽しみにしておりました、
(野田版 桜の森の満開の下)
そもそも
原作の坂口安吾の「桜の森の満開の下」が好き💗
夜長姫を演じる七之助さまが大大大好き💗
野田秀樹さんの作品は随分昔に福岡で「半神」を見た事がありました。
野田秀樹さんがが歌舞伎座で作品を演出されるのは6度目だとか。
毎回、大人気で今回ももちろん満員御礼。
八月は幕間が短いので開演前にお席で食事を頂きます。
18時開場。
まだ人はまばらですが、開演前には満席に・・
7月とは幕の内弁当の中身も変わっております。
幕が開くと
そこは桜の花が舞い散り・・
鬼女が満開の桜の木の下にひそむ舞台
何て禍々しくて、過剰で、美しくて、切ない舞台なのでしょう・・
観る者は・・
現世と異界を、夢とも現ともつかない空間を自由に行き来しながら
この残酷で美しい永遠の物語に閉じ込められます・・
野田作品独特の言葉遊びの連続に頭もフル回転。
高貴でありながら残酷きわまりない夜長姫はまさに七之助さまの
良さがすべて凝縮されたような役どころ・・
(おかげさまで?鼻血はでませんでしたが・・)
興奮覚めやらず・・のままあっという間のエンディングでした。
(もちろん涙・涙でございました)
七之助さまは襲名披露パーティーではお写真とって頂いた時は
礼儀正しく優しく・・
(本当にこれこそが「神対応」と思った事でした。)
赤坂アクトシアターで楽屋ですれ違った時は、スタッフの方々と気さくに談笑
される本当に好青年でいらっしゃいます。
でも私が惹かれるのは七之助さまの演じる女形の・・
(ちょっと言葉は悪いですが。。)
「超ドSな絶世の美女」
現実には存在しない、ある意味「観念的な存在」としての強くて美しくて
残酷な絶世の美女。
もちろん、勘九郎さんの耳男も凄かった・・
そして、
なんと。。
直ぐ近くのお席に、
お仕事でも大変お世話になった七之助さんファンのK様を発見しまして、
「何たる偶然〜!!」
と盛り上がったのでした。
本当に
「参ったな〜」
(↑これがエンディングの耳男の台詞です)
終わったのは、午後九時。
土曜日の朝帰福。
すっかり、時差ぼけなんて治っていた私でした。
明日からまた、しっかり働きます。
(本当よ!)