三年連続で、北の台雅楽アンサンブルの「雅楽と国際交流」の会へご招待頂き参加して参りました。
第一部の学術講演も毎回とても楽しみにしています。
今回は、ジャーナリストの山口昌子さんの「パリ五輪に見るグローバル時代のフランス」
山口さんは1990年から2011年の21年間産経新聞のパリ局長を務めた方。
ミッテラン、シラク、サルコジと大統領3代に渡りフランスを取材され、2023年にはレジオン・
ドヌール勲章オフィシエ」を受賞されています。
そんな山口さんの話で一番興味深かったのは、
2019年に大火災に見舞われたノートルダム大聖堂が去る11月29日に修復が完成した
事について。
火災当時マクロン大統領は「5年でノートルダム大聖堂を修復する・・」と言って、みんなが無理だろうと言った偉業を
見事にやってのけたのです!
ベルナール・アルノー他、沢山の資産家が寄付を名乗り出たそうで・・
王室がなくなってしまったフランスでは心の拠り所は「ノートルダム大聖堂」で
あったそうです。
欧州の真ん中にありながら
度重なる戦禍の中で今でも独立国家として世界に存在感を示すことができるのは
シンボルとなる存在を守り再現しよう国が一つになろうと
アイデンティティーのために、団結できたことではないか・・
マクロン大統領はどんなに支持率が低くても、
約束通り、たった5年でノートルダム大聖堂を修復させたことは
きっと後々評価されるのだろう。
という話でした。
13年前ロンドンにホームステイしていた時の話である。
同じ家にホームステイしていたフランス人の学生
ギオンと、授業の後、
ロンドン市内をあちこち一緒に観光したものでした。
丁度、ウイリィアム王子とキャサリン妃が結婚したばかりで、街には
Wedding Goodsが溢れていました。
ギオンが友達に沢山 チャルーズ&キャサリン と書いた王室お土産
グッズを買い占める様子を見て
「イギリス王室ってそんなに人気なの?」と尋ねると、
「フランスには王室がないから」と。
フランス人は己の手で王室を潰しておきながら、ロイヤルファミリーが
大好きなのだ・・・という話しを興味深く聞いたものでした。
マクロン大統領は、11月29日に
「ノートルダム大聖堂の修復はフランス人の魂の救済だった」
とスピーチしています。
ナショナリズム的な意味で書いてるつもりはないのですが
国家にはアイデンティーティーとなる象徴が必要なのだということ。
山口先生のお話を聞きながら考えたのでした。