昨年NHKのドラマ10の「聖女」という広末涼子さん主演のドラマが放送されていましたが、そのドラマのストーリーではなく、主人公がいつも飾っていた絵画の方に目を奪われました。こちらがその絵画。タイトルは「聖プラクセディス」あの「真珠の耳飾りの少女」を描いた事で有名なフェルメールの作品なのです。ドラマの中ではマリア様として拝まれているようですが、こちらは赤いドレスを着た聖人。殉教者の身体を清めた後、スポンジにしみ込んだ血を聖なる壷に絞っているところ。このローマ時代の聖人を描いた油彩はずっとフェラーラ出身の画家フェリーチェ・フィケレッリの作品と思われていました。それがフェルメールの油彩であると最初に指摘されたのが1969年、ニューヨークのメトロポリタン美術館でイタリアのバロック絵画の展覧会が開かれた時でした。
「Meer 1655」と書かれたサインが見つかり、それ以来、フェルメールかフィケレッリかの激しい論争が始まる事になりました。
その長い論争に決着を付けたのは現代科学の力。
アムステルダム国立新美術館とアムステルダム自由大学で行われた科学鑑定により、当時ヨーロッパ全土で使われいていた鉛白に注目してこの油彩を分析したところ、その成分から北ヨーロッパ産であることが判明。
また当時のオランダ絵画に使用された鉛白の成分とも一致し、さらにはフェルメール同時期の油彩「ディアナとニンフたち」の成分とも見事に一致し、フェルメールの真作であることが確定したのです。
彼の代表作である「真珠の耳飾りの少女」のターバンにも惜しげなく使われているラピスラズリを材料とする高価な顔料ウルトラマリンを背景の空にふんだんに使っているところや、聖人ながらほのかに色気がある少女の表情はまさにフェルメールのテイストそのものです。
しかもこの絵画、もともとたった37点しかないフェルメールの作品のうち個人所蔵され一般の人が見る事が出来ない2点のうちの一つなのです!
そんな曰く付きの絵画が昨年ロンドンのクリスティーズのオークションに出品されました。
出品者はあのベビーオイルの米大手医薬品会社ジョンソン・エンド・ジョンソンの
息子の妻(なんともったいないことでしょう!私ならば絶対手放しません。)
世界中の美術愛好家の目が釘付けになったオークションの様子がこちらです。
最終落札額は624万ポンド(約11億円)。
前評判に反して、推定評価額にやっと達した程度だったそうです。
会場で最終落札をしたのはアジア風のコレクター。。その素性は不明。
ミステリアスなフェルメールの作品にふさわしくまた個人のコレクターの手に渡り、私たちの目の前から姿を消したかと思いきや・・
この絵画は私たちが予想だにしなかったところで再び公開されるのです・・
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