そして空を見上げるとブルーグレイ・・
あんなに真夏日が続いていたのに梅雨があけていなかったのだと・・
この時期に着たくなるブラウス。
もう10年以上前から愛用しているのですが・・
半袖ですが、少しだけファーがついているので、真夏には着れなくて・・
でも、このブルーグレイの色は此の季節の気分です・・
雨降りは嫌いではないし、ブルーグレイも大好きな色だけど・・
儘ならない事の連続の中で、少しだけブルーグレイな毎日に
気分転換でいった美容室で開いた雑誌のエッセイで飛び込んで来たのが
「たとえ世界がブルーグレイに見えるにしても・・」
書いているのは、梨木香歩さん・・
梨木香歩さんと言えば、彼女の著書「西の国の魔女」が映画化されたのでご存知の方も
多いと思うのですが、私が彼女の文章に出会ったのはまたもや車のラジオの朗読
「家守綺譚」
主人公が借りや住まいしている家の掛け軸には鷺の住む沢が描かれているのですが、
その沢が突然揺れて、水しぶきとともに現れる小舟に乗っているのは
湖にて溺れ死んで、遺体さえ上がって来なかった友人藤堂の幽霊・・
気まぐれに現れ、当たり前のように主人公と語らっては掛け軸の中に戻っていく藤堂と
庭に咲く桜の木の精が、桜の季節の終わりに礼儀正しく暇乞いに来るような日々・・
現世と異界が当たり前のようにつながる世界を静謐な文章で綴り・・
ラストで湖の底に導かれた主人公が言い放つ一言がいい・・
とてもいい・・
現世を疎み風雅の世界を選んだ藤堂と
一見浮世離れしているかのような主人公が選ぶ最後の選択が清々しい。
風雅に傾きすぎれば湖の底沈むしかないのでしょうが、主人公が選んだ道は「家守」としての淡々としかし自分の務めを果たす「日常」
その類いまれなる事・・
さて、話を美容室でみたエッセイに戻すと・・
梨木さんが旅行中に飛行機が遅れて夜の9時頃ストックホルムの空港に着陸するときの事・・
着陸間近の飛行機の窓から見たストックホルムの街に、満月の光が振りそそいで空と地上の織り成す壮大な黄金色の輝き・・に大変感動した・・とはじまり・・
しかし地上におりるとその光はなく・・
果たしてこの街に住む人々は自らの頭上にこんな光が降り注いでいるのを知っているのだろうか・・と
さらに・・
長野県の「無言館」で見た戦争中の若い画家の書いた雨の日の水田のブルーグレイを見て・・
たとえ目の前の世界がブルーグレイにしか見えないにしても、その頭上には黄金色の光が降り注いでいるのだと彼らに知らせたいと結んでいます。
いつだって、梨木香歩さんの文章は深く美しく優しい・・
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