香川県丸亀市JR丸亀駅前にある「猪熊玄一郎美術館」へ。
丸亀市は父の生家があり、私も結婚前の本籍は丸亀市であった為、
縁の深い場所なのです。
今回は父のお伴でやって参りました。
のどかな鄙の駅前に、突如として現れるモダンな建物。
香川県出身の画家「猪熊玄一郎」をご存知ですか?
高松市生まれですが、丸亀市で少年時代を過ごした画家で、丸亀市に作品1000点を寄
贈。
その作品群を元に作られた美術館です。
google で検索すると「昭和期の洋画家」と出てきますが、それでは収まりきれない多
彩な芸術的才能を発揮した画家だということがここを訪れるとわかります。
常設展は季節ごとに入れ替えられるようですが、この時期はパリ留学をへてニューヨー
クへ行った頃のものを中心に展示してありました。
猪熊玄一郎・・50歳を超えた頃からの作品・・
具象画は影を潜め、抽象画ばかりです。
元々、抽象画家であったわけでなく、父の母校旧制丸亀中学校(現香川県立丸亀高校)
には彼の描いた「妙義山」の具象画があったそうです。
彼はデザイナーやイラストレーターとしての才能もあり・・
三越の包装紙も彼のデザインなんですよ💗
(知らなかった)
次の展示室に行くと三越の包装紙や雑誌の表紙のイラストなどが展示してあります。
この展示の仕方・・
それ自体がアートです。
こちらはシーズンものの三越の包装紙
全く、古さを感じさせない色彩とデザインです。
こちらは・・まるでマリメッコのプリントみたい・・
このオブジェ(モニュメント)は小さい頃に流された下駄を追って土器川で溺れたところを助けてくれた命の恩人の通りがかりのおじさんに捧げられたものだとか。
常設展以外の企画展も観覧しました。
新進気鋭のモダンアーティスト 金氏撤平の「メルカトルのメンブレン」
「メルカトルのメンブレン」の展示は・・美術館内に留まらず・・
丸亀市のあちこちに見られました。
例えば・・
午前中に訪れた丸亀城の天守閣の中にも金氏徹平氏のアートが見る事が出来ます。
また、金氏 撤平本人による
子供向けのワークショップも休日や祝日に開催されていました。
「丸亀市猪熊玄一郎美術館」
建物のモダンさのみならず、展示や企画にまでキュレーターの並々ならぬセンスと技量
にとても感動しました。
小さな町ならではの街全体を巻き込んでの展示も「アート県(はたまたうどん県)」として名を馳せ、
「ベネッセアートサイト直島」で日本のみならず世界中から注目される香川県の気概
を感じさせます。
この「猪熊玄一郎美術館」のクオリティーの高さからも県内の他の美術館の素晴らしさ
が慮れます。
折しも、3年に一度の「瀬戸内国際芸術祭2016」が開催中でした。
今回は時間がとれずに行く事が叶いませんでしたが、
3年後は必ず訪れたい・・と思いました。
「アート県・うどん県」として県のブランディングに見事成功した香川県ですが、
その勝因は「田舎だから此の程度の芸術しか理解されないだろう・・」
として中途半端なアートではなく、
「世界中が注目する一流のそして誰も見た事がないアート」
という企画者の気概にあったのでは・・と思いました。
(この姿勢は見習いたいです。)
さて・・
丸亀城・
天守閣は小さいのですが、ここまで上ってくるまでの坂道は・・
84歳の父にはなかなか急です・・
日本で残存するもっとも高い城壁とか・・
あまり急できつくて途中で後ろを振り返ってしまう・・という「見返り坂」
を上っていきます。
段々、景色もよくなってきます。
「昔は軽々と走って上ったり降りたりしていたのに・・こんなにきつかったとは・・」
とつぶやく父と私を・・
「こんにちは〜」
と・・
下から上って来たどんぐり拾いに来た幼稚園児の集団があっという間に追い越していきました。
あら、もうあんな上に・・
ようやく天守閣へ。
天守閣からの眺め。
私達を追い越していった子供達の軽々とした足取りに・・
幼い頃の父が・・
軽々と丸亀城を上っている姿を見た気がしました・・
浮遊する 幼き日々のイメージ
ちょうど「GETA」のように・・
この円柱の中に
私達は何度でも 自らの幼き日々を発見する。