今日は昼夜通しで、博多座で高麗屋さんの襲名披露公演を見て参りました。
(11時から21時まで…流石にお尻が痛い😭)
演目としては、お昼の部の幸四郎さんが十役早変わりな
さる「伊達の十役」がとても楽しかったです✨
いわゆる「伊達騒動」を題材とした作品ですが、
仙台藩伊達家三代藩主 伊達綱宗は贅沢三昧の上に廓に通い詰め、その乱行故に幕府から隠居を命じられた人。
頼兼(伊達綱宗はここでは足利頼兼として描かれています)
がうつつを抜かす高尾太夫の花魁道中の華やかな事…💕✨
3歳にして伊達家の後を継ぐことになった亀千代(ここでは鶴千代)の身代わりに、我が子を差し出す乳母の政岡。
ここでも描かれる我が子「個」より「家」が大事という武家社会ならではの不条理とも言える思想。
殺された高尾太夫の幽霊。
それに仁木弾正の妖術、幸四郎さまの早変わりは息もつかせず、
歌舞伎らしい華やかさ、面白さが満載で本当に贅沢な舞台でした。
祝い幕
夜の部の幕開けは、
仁左衛門の「俊寛」
よく演じられる演目ではありますが、年々に感じ方が変わってくるのはお芝居を見る楽しみでもあります。
平家打倒の陰謀企てた咎で、不毛の地「鬼界ヶ島」に流された俊寛。
恩赦を待って、辛うじて生きながらえているが…
ただ1人、地獄のような「鬼界ヶ島」に残される絶望の俊寛の姿が、
今宵は亡くなった親の姿にも重なり、やがては我が身の事なのだと、
この絶望は決して悲劇ではなく人のいく末、運命…
と感じた夜。
幕間は
襲名披露膳をいただきました。
襲名口上と
切りは襲名披露らしく
「春興鏡獅子」
幸四郎さんの舞の可憐で美しい事✨❤️
幸四郎さんは立ち役も女形もこなされるその役幅の広さに圧倒され
特に舞の美しさに今回改めて感動しました。
博多座を後に余韻に浸りながら中洲の街を歩きます…
胸がキュッと締め付けられるような切なさと華やぎを感じながら…
ふと脳裏に浮かんできたのは
年々に(としどしに)我が悲しみは深くしていよよ華やぐ命なりけり…
これは私が若かりしころ、ずっと年上の方から教えてもらった岡本かの子の歌ですが、
その頃のその方の年齢もはるかに超え、
かの子がこの歌を詠んだ年齢も
すっかり超えてしまいました。
これは色んな解釈ができる歌だと思います。
かの子は恋多き女性でしたので、彼女にとっての「華やぎ」は恋であったのでしょう。
私にとっては。
悲しいこととままならない事の積み重ねを経て辿り着く
「華やぎ」はなんと切なく愛おしく、
「年々に」深まっていく…
ということ。
私たちは歳を取ることで多くを失っていく。
しかし歳をとらなければ見えない豊穣で悲しく深く美しい世界があることを知っていく。
この歌を教えてもらってから30年…
ようやくその意味を理解した夜
そう。歳をとるって悪くない。
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