時差投稿です…😅
奈良国立博物館の正倉院展を見た後、1日あけて東京国立博物館の「正倉院の世界」を見て参りました。
朝一、チケットを、買って入館まで一時間くらい並びましたが、入場制限をしているせいか館内は思ったより
混雑しておらず、ゆっくりとかんしょうできました。
素晴らしい企画とコンテンツ‼️
「螺鈿紫檀五弦琵琶」は前期展示でしたので、今回は拝見できたのは複製品。
複製品と侮るなかれ!
鼈甲や螺鈿細工やそれぞれの分野のマイスターが仕事を分担して8年の月日をかけて再現し、実際に音も奏でる事ができる夢のような複製品‼️✨
展示室には、五弦琵琶の実際の音が流れておりなんとも典雅な心地に…💖
それから、今回私が最も楽しみにしていたのが
「蘭奢待」
正倉院の宝物で一番有名なものは中世、近世までは実はこの
「蘭奢待」だったとご存知ですか?
これは「黄熟香」ともいわれ香木の沈香です。
正倉院の北倉に納められている「全浅香」と合わせて
「両種の御香」と呼ばれ香家にとっては特別な香木です。
仏教儀式において仏前を清めるために東大寺に伝わったものですが、
この香木を持つものは天下を取ると言われ、
足利義政が切り取った後や、
それに負けじと
織田信長が切り取った後も残っています。
最新のものですと、
明治天皇が切り取られたあとが残っています。
「蘭奢待」が何故見たかったかというと、
丁度、こちらを見る前日の11月の歌舞伎座夜の部「連獅子」で幸四郎さん親子の華麗なる舞を拝見していましたら
文殊菩薩の座す清涼山にて咲き乱れる牡丹の花は
「正倉院の蘭奢待の香り」
がすると言われてるのだとか‼️
獅子の精の左右に紅白ほ牡丹が描かれていますよね…
獅子は百獣の王ですが、唯一の弱みは、「獅子身中の虫」
その虫から獅子の身を守るのが牡丹の花びらに溜まる
朝露とか…
ですから、獅子と牡丹は離れられない間柄なのです。
連獅子は歌舞伎ではあまりに有名で特に親子の役者さんで襲名披露などでは必ず演じられる演目です。
牡丹は当然牡丹の香りがするのですが、
獅子も清涼山の牡丹も想像上の神聖な存在。
そこにさく牡丹の香りを「正倉院の蘭奢待の香り」
というほどに、蘭奢待が正倉院の宝物の中で特別で、
有名であったという事です。
この蘭奢待以外にも正倉院には、仏教儀式用の香木が多く収められていて、
今回の展覧会にも香木だけの展示室がありました。
そしてこの蘭奢待!!
最新の研究で、
今だに、
沈香の甘き香りがする事が解明されました‼️
1300年も昔の香木が未だ香りを放つなんて‼️
どんな香りなんでしょう、、
展示を見ている他の方々も同じ事を考えているようで
「ちょっと嗅がせてくれないかしら」
「無理でしょ」
なんていう会話が聞こえてきます😊
東京は今、ビジネスホテルも百貨店も、、どこへ行っても外国人観光客だらけですが、、
こちら「正倉院展」は、来場者はほぼ100パーセント日本人です。
会場の熱気…
後ろから聞こえてくる皆さまのおしゃべりにも頷いて共感できる一体感✨
(私は決してナショナリストではないのですが)
奇しくも聖武天皇が中央集権国家を設立する為の
渾身の宝物は、人から人によって大切に受け継がれ
(世界中の大抵の歴史遺産や美術品は忘れ去られ、放置され、
あるいは略奪され、
散逸して、
そして後の世に発見されたりすることが多いのですが、、
ピラミッドしかり、アンコールワットしかり、)
大切に守られて、今も天皇の勅使によってしか開ける事許されず、
(あの織田信長でさえ、蘭奢待をきりに勝手に入る事ができなかったそう…)
令和の時代にあっても日本人の私達の
心を1つに纏める力を持つことはやはり尊い…
としか言いようがないですね…
夢の国 燃ゆべきものの燃えぬ国
木の校倉のとはに立つ国
森鴎外