備忘録です。ブログを始めたのはささやかながら仕事を始めてから。自分の日常を切り売りするのはなんとなく抵抗が有ったのですが、元々文章を書くことが好きだったのと日記のように読み返すと自分自身が楽しくて、さぼりがちにボチボチと続けていましたら、みてくださる方が一定数いらっしゃるのだと知らされた新年のこと。

昨年の4月の終わり頃・・もう桜もほとんど散ってしまった静かな京都に行き俵屋旅館の「翠の間」に泊まりました。
海外旅行へ行けなくなってしまった今、京都へ行くこと・・俵屋旅館へ泊まることは、私の密かな楽しみとなっているのです。
（といってもそんなに足繁くは通えませんが・・）
俵屋さんは泊まった時出発の前に次の予約をして帰ります。
昨年の12月12日の餅花作りの時に次の歳の餅花作りや月次の行事のある日を予約をお願いしました。
お部屋は宿の方が薦めてくださるお部屋に・・
（私からこの部屋に・・とリクエストしたことは一度もありません。）
何も言わなくてもその時々に眺めの良い趣ある部屋を薦めてくださるので
安心してお任せしています。今回は「翠の間」
名前に違わず部屋からの庭の翠が美しい・・魯山人の行燈の光が夕暮れの中にほんのり浮かび上がってきます・・
春の夕暮れ時はゆっくりと時間が揺蕩います。楽しみな夕食・・

坪庭は4月の終わりは桜ではなく藤の花・・

甘い香りが満ち満ちて何とも幽玄で甘美な眺めです・・
これは東大寺の修二会の糊こぼしでしょうか？
（糊こぼしとは東大寺開山堂の南側、基壇のすぐきわに植えられた椿のことを言います）
毎年2月23日に東大寺の僧が修二会（俗に言うお水取りですね）のために手作りするものとそっくりです。椿は供花でもありますし、椿の下の組紐はお釈迦様と繋がる意があるのでしょう。

灌仏会に飾る「誕生釈迦佛立像」
4月はお釈迦様の誕生月でもあります・・
そして花散る「散華」の月・・
ぱっと花を咲かせ潔く散る桜は人生そのもののようでもあります。
玄関口で迎えてくれるのは宿の顔と言われる「極楽図屏風」釈迦の誕生を祝う灌仏会の設とは対照的にこの屏風いっぱいに描かれているのは遊興に身を委ねる人々・・「仏」と「花」「散華」と「遊興」「彼岸」と「現世」テーゼとアンチテーゼか鏤められている俵屋の設えを自己流に読み解いていくのがこの宿に泊まる醍醐味なのかもしれません。

遊びをせえんとや生まれけむ・・梁塵秘抄の今様が頭をよぎる幽玄な夜。