通し狂言
義経千本桜 第一部をAプロで見て来ました。
第一部は、
鳥居前
渡海屋
大物浦
忠信を市川團子さん、
平知盛を中村隼人さん
が演じるのがAプロです。
義経千本桜の平知盛は、演じたくても演じる事ができるようなお役ではなく、まして歌舞伎座での初舞台を踏むというのも、たどり着きたくても辿りつけるものでもありません。
直近では、仁左衛門さんが演じていた大役。
平家物語での平知盛は「見るべき程の事は見つ」と言って、
入水していきますが、
見るべきほどの事を見つとは、
世界の美も、愚かさも、無常も全てを受け入れた者が
最後に辿り着く「静寂の宇宙観」の言葉。
哲学で言えば「存在の充足」科学で言えば「意識の統合」
この境地は、感情を超えた「深い理解の場所」にあります。
奇想天外な義経千本桜のストーリー、
壮絶な知盛が最後に静寂の宇宙観を表現する…
難しいお役です。
若干31歳の隼人さんが果たしてどのように演じられるのか
はらはらしながら、手に汗を握りながら鑑賞しました。。。
歴史に残る舞台。
魂に訴えてかけてくる、
平知盛が乗り移ったかのような演技に深く深く感動しました。
隼人さん、その美貌に目が行きがちでしたが、
この舞台で歌舞伎の歴史に名を残す役者さんになられましたね、、
そんな歴史的な舞台を鑑賞できて、本当に幸せでした。
そして、世代が代わっていくなぁとの感慨も深い舞台でした。