香港最終日は香港最古の茶室である「陸羽茶室」へ。
こちらはガイドブックを見ると「飲茶」のレストランとして紹介してありますが・・
そもそも「飲茶」と「点心」の意味と違い・・ご存知でしたか?
(私も香港に来て知ったのですが・・)
点心とは禅でいうところの「空心(すきばら)に小食を点ずる」から来たそうで
食事の間に少量の食べ物を食べる事なのだそう。
間食や御菓子のたぐいはすべて「点心」というそうですが、現在の香港や中国
で「点心」というと「御菓子」のことを指すようです。
それでは・・「飲茶」とは・・?
私たちが「飲茶」というと「春巻き」や「小籠包」のことを想起しますが・・
そもそもは読んで字のごとく「茶を飲む」ことなのです。
ですからお店の名前も「陸羽茶屋」
そしてお店の看板も
「LUK YU TEA HOUSE」
茶を飲む時に、軽食やお菓子をつまんでいたのがそもそもの「飲茶」なのだとか・・
日本だと「茶を飲む」習慣を飛び越えて「餃子や小籠包を頂く」ことが
「飲茶」という意味合いになっていますよね。
10時には出発しなければならなかったので、
朝ご飯代りに8時頃お店へ行きました。
オールド香港を彷彿とさせる重厚な建物の前にアラブ人のドアマンがいます。
彼に人数を告げると左の入り口から2階へ登るよう促されます。
2階へ登ると・・
階段脇の席へ座るように言われます。
(ここから全く英語が通じません!中国語しか通じないし聞こえてきません)
観光客はいなくて常連さんぽい方々がゆる〜りと新聞を見たり、談笑
したりしています。
席に着くと・・
まず「烏龍茶・ジャスミン茶・プーアル茶?」
と聞かれます。
「プーアル茶」というと
茶葉をティーバックのような物を破ってポットに入れて
湯気のたちのぼるやかんからお湯を注いで
(いい感じ〜〜!)
ささっと淹れてくれました。
最初のお茶で湯のみやお皿を洗ってポットの奥にあるボールのようなものの
中に洗ったお茶を捨てます。
下の写真、右手のガラスのケースの中の仙人のような人こそ・・
店名にもなっている「陸羽」
お茶のバイブル「茶経」を記した茶仙(茶祖)として有名ですが、
史学科・地学科・文筆家としても有名な多才な人でした。
実は陸羽は捨て子でして、
湖北省天門市で智積禅師というお坊さんに拾われます。
智積禅師はお茶の嗜みのある人で陸羽に茶を点てさせたところ
素晴らしい才能を発揮し、
禅師は陸羽の点てたお茶しか飲まなかったとか。
ある時智積禅師が皇帝のところに呼ばれ
宮廷で一番という腕前の茶人の点てた
お茶を出されたところ、
禅師が一口も口をつけなかったのを
皇帝がめざとくご覧になり、
こっそり陸羽に茶を点てさせ、内緒で禅師に出したところ・・
「これは陸羽の点てたお茶では・・?」
とすぐに勘づいたとか・・。
陸羽の腕前もさることながら、智積禅師の感覚も人並みはずれていた事を
物語るエピソードです。
陸羽は「茶経」の中で水質や沸騰したお湯で淹れる事、それまでネギや生姜
を入れて飲んでいたのを邪道とし、お茶のみを飲む事を薦め茶を単なる
栄養補給の飲み物としてではなくもっと嗜好性の高い飲み物として
やがては精神性や求道的になっていく道筋をつけた人です。
(あの「利休」にも多大なる影響を与えたとか)
さて気になるのは「茶を点てる」という記述です。
(翻訳者のまちがいでしょうか?)
と投稿しておりましたところ、
有難くも中国茶の先生より
御指南いただきましたので、
訂正記述致します。
(以下訂正内容)
陸羽の生きた唐の時代は
緑茶を固めていたものを
漢方の薬研のような形の茶研で粉にして、
点てていたことが、茶経にも記されているそうです。
散茶になり淹れるようになったのは明の時代からだそうです。
ここまで、教えていただいた内容です。
I先生本当にありがとうございます。
中々、この歳になると、
間違っているな…
と思われても、
遠慮なさって、ご指摘いただけない事が
多い中で、心の籠ったアドバイスが文面からも
伝わって参りまして嬉しい事この上なしでした。
前置きが長くなりましたが・・
肝心の点心は
おばさま方が首から下げて席まで持って来てくれます。
好きな物だけを取ります。
(このスタイルは11時まででそれ以降は紙でオーダーするスタイルになるそうです。)
点心を取ると右下のシートにはんこが押されます。
頂いた物は・・
海老焼売
海老ワンタンの揚げ物
蒸し餃子
エッグタルト
ごま団子
すべてと〜〜〜っても美味しかったのですが
ここでギブアップ・・
(旅行中てどうしてこんなにお腹がすかないのでしょうね😢)
飛び交う中国語
やかんの注ぎ口から立ち上る湯気の音・・
茶仙「陸羽」の像
オールド香港の「飲茶」の世界がここには確かに生きているのだわ・・
とお茶を啜りながら何だか意味もなく胸が熱くなったのでした。
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