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Arts de la table
10月〜12月のレッスンのご案内
10月〜12月のレッスンスケジュールです。
今日はこの秋はじめて床暖房を入れました。今年も終盤に入ったことを実感した
一日でした。紅茶の美味しい季節でもあります。

10月
和食と和菓子と紅茶のペアリング。和のテーブルで。
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紅茶は インド紅茶の輸入会社 コンパスさんよりダージリンセカンドフラッシュはシーヨック茶園とナムリン茶園のものをご準備しました。
それから、コルコタのティーオークションでこれまで、キャスルトン茶園が持っていた記録を更新した、世界最高値の紅茶マカイバリ茶園のシルバーニードルズをコンパスさんが特別に分けてくださったものを飲んで頂きます。
わたしも頂くのが今から楽しみです♪
今月の実習は簡単スパイスティーです。

6月に御出ししたコンパスさんの紅茶↓

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コンパスさんのHP→http://www.tao-compass.com

10月21日(水曜日)11時〜満席
10月26日(月曜日)11時〜満席
10月30日(金曜日)11時〜満席

11月
イギリス式のスコーンレッスンです。
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スコーンのレシピもさまざまで、パン屋さんで売られている限りなくパンに近いもの、ケーキ屋さんで売られているクッキーに近いもの・・はたまたパイ生地に近いものまでありますが、今回はINFUSEのレシピで、口の中の水分をとらないしっとりしたイギリス式スコーンを実習して御持ち帰りいただきます。プレーンとサルタナレーズン入り、そしてセイボリー(甘くない)なスコーンにはキャビアを一緒に食べていただくご提案を致します。
紅茶はクオリティーシーズンのものを検討中です。
11月24日(火曜日)11時〜
11月26日(木曜日)11時〜

12月
クリスマスティーの飲み比べ
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クリスマスのシーズンは各ブランドがこぞってオリジナルのクリスマスティーを発表します。それを飲み比べながらクリスマスプディングを頂きます。
実習は検討中です。
今回はティーパーティー形式で・・
テーブルセッティングはもちろんクリスマスです💓
    12月15日(火曜日)11時〜(満席)
12月17日(木曜日)11時〜 (満席)

深まる秋に向かって紅茶の美味しい季節です。
皆様のご参加を御待ち申し上げております。
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  レッスンのお問い合わせ、テーブルスタイリングや
  セミナー等お仕事の依頼は
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# by artstable67 | 2015-10-07 20:16 | 自宅レッスン | Trackback | Comments(0)
ドゥカーレ宮殿①
旅行から帰ってきて時間が経ち・・
子供達とも訪れた街でどこが良かったかという話になると・・

三人口を揃えて「やっぱりヴェネツィア!」

滞在しているときよりも、帰国して思い出すにつけてより恋いこがれてしまう街なのです・・
そんな魔力を持つヴェネチアの政治の中心だったドゥカーレ宮殿について・・

ドゥカーレ宮殿には2日間にわたって、ツアーに参加しました。

(結局2日間とも親子三人で貸し切りでしたので、色々質問も出来てとてもラッキーでした。)

今回はドゥカーレ宮殿の概略と美術面のレポです。

ドゥカーレ宮殿はサン・マルコ寺院とともにヴェネツィアという都市のシンボルであり、サン・マルコ寺院が「総督(ドージェ)の礼拝堂」である一方で、
元首官邸・議事堂・内閣府・裁判所そして監獄までも兼ね備え、ヴェネツィアの統治機構のすべてを含む巨大な建造物なのです。

(監獄については2日目に別のツアーに参加したので、次回に詳しくレポします。)

810年に元首の居城として建造され、当初は堅固な城塞の様であったといいます。
1172年、それまでの要塞型の形態からポルティコ(列柱廊)とロッジア(開廊)を備えた開放的な邸館建築に生まれ変わりました。
14世紀に岸辺に向かって新らしい翼が増築され、15世紀半ばにほぼ現在の形になったと言います。

南側を海に、西側はサンマルコ広場に面しており、その明るく洗練された外観は船で海からヴェネツィアに到着するときも、もっとも目立つのがこの建物なのです・・

これは海側からみたドゥカーレ宮殿
こちら側に入り口があります。
ドゥカーレ宮殿①_c0366777_23291158.jpg
入り口を入ると広い中庭(「元老議員達の中庭」)がありそれを建物が取り囲んでいます。
こちらはその中庭に面している「巨人の階段」
1483年〜85年にアントニオ・リッツオが築いたそうです。
ドゥカーレ宮殿①_c0366777_23341858.jpg
ドゥカーレ宮殿はたびたび火災に会い、とくに1574年と1577年の大火災によってベッリーニ、ジョルジオ−ネ、ティツィアーノといったいわゆるヴェネツィアの国力の絶頂期(正確に言いますと、ジェノバと休戦条約を結んだ1381年からトルコとの戦闘が再開される1498年まで)の画家達の作品がドゥカーレ宮殿から永遠に失われてしまいます。

それ故にドゥカーレ宮殿ではヴェネツィアの絶頂期(美術史的にはルネサンス)の作品を見ることはできません。

その代わり、このような不幸にくじけることなく、ヴェロネーゼやティントレットといった巨匠を招き大評議室を中心として装飾作業が再開されます。

今回はこのヴェロネーゼとティントレットの作品を中心にティツィアーノとティエポロにも触れていきます・・

こちらは「四扉の間」
元老院の間やシニョリアの間に行く為に通過する部屋や控え室として使われていました。

ドゥカーレ宮殿①_c0366777_00134919.jpg

天井画の真ん中にある長方形の絵はヤコボ・ティントレットによるもの。
1578年つまり火災以降に制作した、ヴェネツィアの支配下にある都市や地方の象徴的な絵や神話を題材としたフレスコ画です。

左手の壁の絵画は・・

なんと・・ここドゥカーレ宮殿にある唯一のティツィアーノの
「信仰の前にいる総督アントニオ・グリマーニ」
ドゥカーレ宮殿①_c0366777_00212947.jpg
ティツィアーノの作品は先日の投稿でも書きましたが、ヴェネツィアには殆ど残っておらず此の地で見られるのは非常に希少です。

そして、「四扉の間」のもう一つ見逃せない作品は
天井画のこちらからみて一番正面にある
「ヴェネツィアに海の恵みを与えるネプチューン」こちらはヴェネツィア最後の巨匠といわれた18世紀の画家ティエポロによるものです。
こちらも非常に有名な絵画で、ヴェネツィアを紹介する本には度々紹介されています。
右の女性はヴェネツィアを具現化しており(左手にいるライオンが聖マルコの寓意)、海の神であるネプチューンから金銀財宝を受け取る姿は、ヴェネツィアが海洋貿易によって恩恵を得ていることの寓意画なのです。
ドゥカーレ宮殿①_c0366777_00412598.png

次に・・
「閣議の間の控え室」
大使や代表団が内閣に謁見されるのを待つ為に使われた、迎賓控え室です。

こちらは天井画
中心の六角形の絵画はヴェロネーゼによるもの。
此の少しグリーンがかったブルーはまさにヴェロネーゼブルー。

ドゥカーレ宮殿①_c0366777_01073098.jpg

本当に美しくて心奪われます・・
かのナポレオンはヴェネツィアを攻略したときヴェロネーゼの作品がたいそう気に入りたくさん略奪していったそうですが、こちらは天井画だったため、断念したそう・・
よかったよかった・・
こうやって、後世の旅人である私たちがその美を堪能する恩恵に浴せるのですから・・

ヤコボ・ヴェロネーゼについて補足しますと・・
ヴェロネーゼ(1528〜88)は希有のカラリストといわれ、ヴェローナで生まれそこで修行します。
1555年までにヴェネチアに移住します。
今回は通らなかったのですがあの恐れられていた10人委員会の間を装飾したことでも有名です。
ティツィアーノも大変ヴェロネーゼを気に入っていたと言います。
ヴェネツィア絵画史の中での位置づけはジョバンニ・ベッリーニが15世紀に起こし、
ティツィアーノに引き継がれることになる色彩主義というヴェネツィア絵画の正統派の流れに比べ、ヴェロネーゼは独立した、個人的なやり方を提案します。
つまり、国家イデオロギーと結びついた古典的パラダイムが、マニエリズム的な様式と合体するのです。
ヴェロネーゼの画風は2世紀後の18世紀にティエポロによってリバイバルしヴェネツィア最後の美を生み出す原動力となっていきます。

さて・・
写真に撮り忘れましたが、壁面はティントレットの絵画で埋め尽くされています。
(すっかりヴェロネーゼの作品に見とれておりました・・)


そしてこちらは
「閣議の間」
国家の行政と代表行為を行っていた大審議委員会と共和国執政府の会議に使われていました。
此の部屋の天井も壁もヴェロネーゼ・・ヴェロネーゼ
わ〜〜〜!!
こちらの透明なブルーも美しい・・
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こちらはヴェロネーゼの「レパントの海戦の勝利を感謝するセバスティアーノ・ヴェニエル」
ドゥカーレ宮殿①_c0366777_01211111.jpg
レパントの海戦は1571年10月7日にスペイン、ローマ教皇、ヴェネチアの連合軍がオスマン帝国を破った戦いですが、ドゥカーレ宮殿にはこれのみならず、コンスタンティノープルの陥落など、ヴェネチアの歴史的勝利の瞬間を表した絵画で埋め尽くされています。

そしてこちらがドゥカーレ宮殿の一番の見所である
「大評議会室」
此の部屋は1474年からベッリーニ兄弟以下、ティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼらによる油彩壁画が制作されていましたが、完成直後の1577年の火災ですべてが消失してしまったそうです・・
もったいなさすぎます・・
その後、装飾作業が行われて現在の姿になりました。

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最大の見所にして最大の部屋・・2000人も収容できるキャパシティーがあります。
此の部屋のみどころはなんといっても
ティントレットの「天国」です。
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こちらは世界一大きな油絵だそうです。
う〜ん、迫力がありますね〜

パズルのように手分けしてティントレットやその息子や弟子達によって描かれた
絵画を組み合わせてこんなに大きな作品に仕上げたと言います。
近くで見ますと・・

人物が書かれている陰の部分とそれ以外の光の部分のコントラストが非常にわかりやすいですね・・
・・とてもドラマチックな印象です。


ティントレットについても補足しますと・

ヴェネツィア生まれで(1518〜94)バロックの先駆者と言われますが・・
劇的な構図と鮮烈な色彩、強烈な明暗や生き生きとした筆触がバロックの先駆者といわれる所以だとか・・
この画家もティツィアーノと同じく晩年まで筆力が衰えず、おびただしい数の作品を制作し、ヴェネツィアでもっとも頻繁に目にする画家なのです。
この「天国」もそうですが、息子や娘も画家となり大きな工房を構えたため、工房作も多いとか・・

この「天国」実はヴェロネーゼがフランチェスコ・バッサーノと共同で描くはずだったのですが、ヴェロネーゼが没してしまい、かわりにティントレットが息子や弟子達と描いたそうです。

で・・こちらは天井画。
ヴェロネーゼの「ヴェネツィアの勝利」
またまた、ヴェネツィアが女性として描かれ(天使に戴冠されている)美徳に囲まれたヴェネツィアの礼賛が象徴的に描かれています。
やはりブルーが美しいです・・

ドゥカーレ宮殿①_c0366777_02001308.jpg
ヴェネツィアの美術について総括するならば・・

ティツィアーノをはじめ、ジョバンニ・ベッリーニ、ティントレット、ヴェロネーゼら巨匠達の活躍によって、ヴェネツィアはローマに匹敵する美術の中心地となり、同時代のパオロ・ピーノやロドヴィゴ・ドルチェの批評によって「ローマの線描に対するヴェネツィアの色彩」という図式ができます。
素描より色彩を重視するヴェネツィア絵画は輪郭線と色彩が溶解するようなティツィアーノの表現主義的な晩年様式で頂点に達したと言われています。
20世紀のアメリカの批評家クレメント・グリーンバーグはこうしたヴェネツィア派の絵画性はそのごの西洋美術に脈々と受け継がれ、20世紀の抽象主義に至るという系譜を示唆しそれを「ヴェネツィアン・ライン」と名付けています。
つまり「ヴェネツィアの色彩」は現在に繋がる絵画の可能性を内包していたということなのでしょう・・

個人的には・・ナポレオンではないのですが、ヴェロネーゼが大好きです。
とくにグリーンがかったヴェロネーゼブルーが・・

次の日の夜、オペラを見に訪れたファニーチェ劇場の天井・・

ドゥカーレ宮殿①_c0366777_02410395.jpg
ここにもヴェロネーゼブルーが!!

オペラの舞台も鮮やかな色彩に溢れていて且つ耽美的な演出・・
すっかり、ヴェネツィアンマジックにかかってしまうのでした・・

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# by artstable67 | 2015-10-04 23:02 | 旅行 | Trackback | Comments(0)
お菓子教室(Comme la France)
お菓子教室でタルト オ ポンム(紅玉のタルト)を習ってきました。
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この時期しか店頭に並ばない紅玉を使ったタルトです。

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購入したら、ラップに包んで保存するとパサパサにならないそうです。

タルトの中に敷き込む紅玉のコンフィチュールももちろん作ります。
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パート シュクレの生地の敷き込み方も・・

改めて・・納得・・
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薄〜くスライスした紅玉を沢山載せて焼きます。
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焼き上がりました。
美味しそ〜〜〜
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テーブルスタイリングがハローウィンですごく素敵〜〜

先生も美人でお茶目で素敵な方なんですよ・・

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しかもテーブルクロスはボーヴィレのアルネ!
先生は色違いで3枚もアルネをお持ちだそうです・・

私もアルネ欲しい。。
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ナプキンもアルネで揃ってる〜
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試食タイム
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ヴェルデコの麻美先生のアレンジもぴったりです。
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帰り際、レッスン袋を見て先生曰く・・

「あれ?山野さん。タルト オ ポンム習ってますよ??」

きゃ。
まさかの重複受講・・
またまた、やってしまいました・・
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# by artstable67 | 2015-10-03 21:38 | お稽古 | Trackback | Comments(0)
アムステルダム国立美術館
夏休みにアムステルダム国立美術館を訪れました。
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アムステルダム国立美術館は2004年からなんと改修に10年の月日をかけて昨年
再オープンしたばかり・・

世界中の美術愛好家がそのグランドオープンを待ち望んでいました。

何故そんなに改修に月日がかかってしまったのかはこれまた昨年公開された

ドキュメンタリー映画「みんなのアムステルダム国立美術館へ」

に記録されているそう・・

(公開される映画館も期間もとても限定されていたので未だ見ておらず・・)

そんな曰く付きで

しかもあのフェルメールの3作品やレンブラントの「夜警」が見れるとあって

こちらは今回の短いアムステルダムステイの中でも絶対行きたいスポットでした。

9時開館ですが、美術館は朝が命!

で8時半から並びました・・

アムステルダム国立美術館_c0366777_08302513.jpg
入り口は2カ所あり、こちらは予約券を持っていない観覧者用・・

まだ3人しか並んでいません。

最初の写真の美術館の建物の真ん中は歩道と車道そして自転車道になっており

自転車がすごいスピードで美術館の真下を突っ切って行きます・・

なんでも、改修が遅れた理由の一つに自転車っ子のアムステルダム人が

「こ〜んなところに美術館があったら自転車が通れな〜〜い!!」

と反対したからだとか・・

美術館の真下を十分にびゅ〜〜んびゅ〜〜ん突っ切って行かれていますが・・

午後にはヴェローナへ飛ぶため、とにかく時間がないので

開館と同時に


目指したのは2Fの

「名誉の間」
アムステルダム国立美術館_c0366777_08433711.jpg
こちらは1600年から1700年・・
いわゆるオランダが隆盛 をきわめたころの作品

が展示されているフロアーになります。

アムステルダム国立美術館は年代別に作品が

まとめられており、大変見やすいのです。

これも10年改修の賜物とか・・

このフロアーに入ってすぐ左手に・・

「ありました!」
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フェルメールの「牛乳を注ぐ女」

ちょっと感動です・・

想像していたより、ずっと満ち足りた表情に見える彼女・・

床に落ちている小さなパン屑や壁に刺さっている釘などが丁寧に描かれていて

彼女が牛乳注ぐ音が聞こえてきそうです。

この平凡な日常の一こまの空間に足を踏み入れたような錯覚を感じます・・



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こちらは「恋文」

おもっていたよりずっと小さな作品である上に、絵画のほとんどの部分が陰なので、

小さな二人の人物の様子をこっそり盗み見しているような気分になります。

最後に・・
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フェルメールが残した数少ない風景画の一つ「小路」

以下「アムステルダム国立美術館 公式ガイドより抜粋」

〈デルフトの家の眺望〉という名でも知られる本作品は、17世紀の絵画において異質な存在である。
フェルメールは特定な建物を書く代りに、場所の特徴を描かずに、無名な場所を取り上げている。
また、大都会の慌ただしい情景を描いた訳でもない。
本作品は、曇った日の静かな小径の印象をそのまま表現している。家の右側や規律真屋根の上部が絵の枠からはみだした構図を用いる事により、ありふれた情景という印象を強めている。一見しただけでは、この小路に働く人々に気がつかないかもしれないが、良く見ると、一人の女は戸口に腰掛け、裏庭に続く通路には女中が二人の子供が遊んでいる。崩れそうなアーチや建物正面にはっきり見受けられる修復箇所等のリアルなデティ−ルが、この場面の印象をより強くしている。
長年、歴史家はこの小路がデルフトのどこにあるのかを特定しようとしてきたが、まだ判明していない。おそらく、フェルメールが想像力を持って現実を再構築したのだろう。
(以上)

実際拝見すると・・

水路を伝って流れてくる水泡までもが丁寧に描かれており、

そうやって細部を丁寧に描くことにより、

その場の空気感を永遠に閉じ込め、観覧者をあたかもその場に居るよう

な錯覚に陥らせるのはフェルメールの真骨頂なのですが

とくに彼の故郷オランダでこの絵画を見た時に

400年以上も昔のデルフトの日常も現在のオランダの日常も

そして私が日本の片田舎で過ごす日常も時間の本質は同じなのだ

・・・と感じました。

さてフェルメールについては日本でもよく彼の作品が公開されるので説明はいらないと

思いますが・・

今でこそ、
「17世紀後半にデルフトで活動した「オランダ絵画黄金時代を飾る「巨匠」である」

と考えられていますが、晩年の彼は絵画市場の価格

が急落した事から金銭的に困窮した晩年を過ごしており、

また、18世紀〜19世紀には彼の作品は全く忘れ去られていたそうです。

フェルメールという魅惑的な響きも 英語風には Vermeer (ヴァーミア)と発音さ

れるとなんだか魅力半減ですよね・・

そのフェルメールを再評価したのは

フランスの美術評論家のトレ・ビュルガーで、今から百年前の事。

そう思って見てみると

美術品の価値基準は何とも主観的でかつ時代とともに移ろいやすく

(美術品のみならず)自分は如何に様々な時代的偏見でものを見ているのか・・

思うのでした。

さて、この2Fの「名誉の間」

なぜ「名誉の間」かといいますと、そう1600〜1700年

いわゆる17世紀はオランダ(ネーデルランド共和国)が世界の覇者として君臨した

富と繁栄の時代だったからです。

その繁栄の時期は正確には1602年の東インド会社設立から

1672年に共和国がフランス・イギリス・ミュンスター・ケルンの連合軍に侵略される

までの70年間。

(世界史の教科書を見ますとオランダの繁栄の終焉は英蘭戦争に敗北した1674年と

記述してありますが、現地で購入した公式ガイドには

ネーデルランド共和国の厄災の年は1672年と明記されています。)

そしてその共和国の黄金期に束縛を解かれた文化・芸術が発展したのです。


その黄金時代の共和国の絵画史を担ったのは

レンブラント、ヨハネス・フェルメール、

フランス・ハルス、ヤン・ステーン

等の巨匠・・

こちらレンブラントの「夜警」

アムステルダム国立美術館_c0366777_10361581.jpg

そして17世紀のオランダでは絵画は決して

特殊な階級の人々のものでなく平凡な市民も大いに絵画を欲し所有したのです。

17世紀にオランダを旅した人の手記には

ネーデルランドの平凡な市民が所有している絵画の数の多さに驚いた感想

が残されています。

家財一覧表によれば、

裕福な市民の家には数十ないし数百にのぼる絵画が飾られていたとか

芸術家のパトロンはカソリック教会ではなく

肖像画を依頼する余裕のある市民・商人・ヘレント(都市貴族)

であったといいます。

このようにして17世紀オランダの画家は作品を量産し、

その作品数少なく見積もって数百万点と言われています。

また、成功した画家が若い世代に技法を伝授する事業も手がけていた事も、この環境に

拍車をかけたとか・・

かのレンブラントは50名以上の弟子に絵画技法を伝授したと言われています。

(レンブラントについてはまたの機会に書くとしまして・・)

改修を終えたアムステルダム国立美術館の館内を

もう少し、ご紹介しますと・・

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隅々まで、空調が行き届き快適な室温にコントロールされ快適でした。

(これって世界中の大きな美術館・博物館でも希有だと思います。)

作品に酔いそうになることなく心地よく展示され、

内装を得意とするフランスの建築家、ジャン=ミシェル・ウィルモットによる

控えめなデザインを採用したグレーの壁は往時にカウバースが採用した色鮮やかな内装

とは対照的ですが、美術品そのものを引き立てているように感じました。

さすがに10年間・・いかに見やすく快適にとの改修を経ただけの事はあります。

カフェもミュージアムショップもスタイリッシュで素敵でしたよ。

最後に・・

通常はその国を代表する美術館や博物館を訪れると

(ルーブル美術館や大英博物館など・・)

その国の隆盛時代を思い知るのですが、

ここオランダでネーデルランド共和国の隆盛時代を思い知ったのは

図らずも、前日の夜の運河ディナークルーズの時でした。

船の豪華さや雰囲気ではそれはセーヌ川のバトー・ムッシュやヴェネツィアのゴンドラ

には勝てませんよ・・

でも・・
船がアムステルダム駅前の発着所から出発して

港に出た時・・

(写真でうまく伝わらないのがもどかしいのですが・・)

見た事がないくらいの様々な種類の船(絶対名前を言えない)が

様々なスタイルでクルーズを楽しんでいる様子が圧倒的に美しくて思わず子供たちと歓声をあげてしまいました。。

本当に今までの人生でこんなに色んな船(数ではなく)を

一度に見たのは初めてでした。

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港の直ぐ脇でコンサートが・・
すごい盛り上がりです・・
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さすが、17世紀の海洋国家、世界の覇者・・!!

と親切で優しいアムステルダム人にすすめられるままに(飲めないのに)

ワインを飲んで飲んで飲んで・・・・・・

こののち記憶がなかった私でした・・

決して古くさくなくデザイン性の優れた機能的なものに溢れ、

清潔で美しく人々は偏見なく旅人を受け入れてくれる・・

アムステルダム、大好きです!

10年改修を終えたアムステルダム国立美術館、

ぜひ皆様も機会あれば足を運んでくださいね。


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# by artstable67 | 2015-09-23 12:06 | アート
9月のレッスン
9月の紅茶とテーブルコーディネートの教室が終わりました。
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今日はアレンジやテーブルの上にブルーを中心に色をさして、立秋を迎えるとはいえまだ日中は暑く移り行く季節のたゆたい・・のようなものを食卓に表現してみました。

9月に入り、イベントやレッスンの準備で睡眠も食事も儘ならないままに、一回目のレッスンでは色彩が湧いて来ずに・・

今日ようやく、自分のイメージが具体化できたような・・

この鮮やかなブルーは夏休みに訪れたヴェネツィアのドウカーレ宮殿を飾っていた画家ヴェロネーゼの絵画に使用されていた鮮やかなヴェロネーゼブルー


同じくヴェネツィアのカフェ フローリアンで購入した紅茶ととんぼをセッティングのメインに・・

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トンボ柄のティーポット
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パープルのテーブルクロスはガルニエ・ティエボーです。
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ベイクウェルタルトとマスカットのタルトを作りました。

ベイクウェルタルトはイギリスのべイクウェルで誕生したと言われるお菓子で
タルト生地にラズベリージャムとアーモンド生地を敷き詰めて焼き上げる素朴な焼き菓子です。

ラプサンスーチョンによくあうので、ローマのBabinnton`s  tea roomsで購入した
ラプサンスーチョンを合わせて淹れました。


写真下真ん中辺りに写っている黒い缶がBabinton's nのラプサンスーチョンです。
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マスカットのタルトは前日にタルト生地を作りクレームダマンドを入れて焼き上げ、
当日カスタードクリームを絞りマスカットを飾って仕上げます。

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今日のレッスンは紅茶シロップを作り、そのシロップを使ってティーサバランとティーオレとカボススカッシュを作って頂きました。

ティーオレの実習の様子・・
綺麗に2層になっていますね・・
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かぼす(レモンスカッシュ)
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こちらも綺麗に出来ました・・

紅茶シロップにラム酒を混ぜたものをバゲットに染み込ませただけで出来る簡単で美味しい
ティ−サバラン
生クリームとブルーベリージャムを添えて・・

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今回皆様に御出ししたお料理は・・

さつまいものスープ
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今回の渾身の?作
スカンピーシャンパンリゾット
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スカンピー(別名 ラングスティ−ヌ)を使い白ワインの代りにシャンパンを使ったリゾットです。

こちら ヴェネツィアが舞台のアンジェリーナ・ジョリー主演の「ツーリスト」の中で、
アンジーが「私は、スカンピーシャンパンリゾットね。」

とオーダーしていたのを見て、絶対作ってみたい〜!!

と思っていたものでした。

il cielo 主宰の二又 美知先生や学生時代の同級生で楽天のイタリアワインと食材のサイトを経営している「トスカニー」の吉田さんにもレシピの相談にのって頂きました。


こちらトスカニーさんで購入した「スカンピー」
日本では冷凍の状態でしか手に入りません。

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これを、頭と甲羅と身に分けて、頭と身で出しをとります。
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お米はリゾット用を・・
仕上がりはすごくアルデンテ

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お料理三品目はミラノ ブルガリホテルで使用されているものと同じパルメジャーノをパン粉とともに混ぜて作ったチキンのコットレッタ

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デザート一品目は4月のレッスンでも御出ししたラズベリーシラバブ

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こちらは4月のレッスンでも御出ししましたが、9月は初めての生徒さんばかりでしたので
17世紀にイギリスの農場で生まれたということで、もともとはダブルクリームに白ワインやブランデーをかけたシンプルなものだったそう・・

それから
ティーサバラン
ベイクウェルタルト
マスカットのタルト

御出しした紅茶は
紅茶シロップを使って
かぼすスカッシュ
レモンスカッシュ(木曜日)

Florianの紅茶から
ローズティー
ホワイトティー
Babinton’sの紅茶から
ラプサンスーチョン
スウエーデンのKOBSの紅茶(土曜日)

土曜日のレッスンの風景は・・
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お子様の学校つながりのお母様方で和気あいあい・・

賑やかででもすごく感性豊かで、機転の効くお母様方・・

わたしも色々勉強になりました。

来月もお待ちしております。

9月のレッスンに参加頂きました皆様、本当に有り難うございました。

まだまだ、見直す点は多いのですがこれからもよろしくお願い致します。


片付けをしながら、沈む夕日を眺め・・

達成感から苦労が報われる時間・・
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# by artstable67 | 2015-09-20 01:07 | 自宅レッスン | Trackback | Comments(0)
  

食空間プロデューサーの山野舞由未です。
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