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Arts de la table
ボッティチェリとルネサンス〜フィレンツェの富と美(Bunkamura ザ・ミュージアム)
渋谷道玄坂のBunkamura ザ・ミュージアムで開催されている「ボッティチェリとルネサンス〜フィレンツェの富と美」を見てきました。
ボッティチェリとルネサンス〜フィレンツェの富と美(Bunkamura ザ・ミュージアム)_c0366777_18594826.jpg
土曜日でしたが、前日に行った国立新美術館の「ルーブル美術館展」に比べれば人も多くなくゆったりと鑑賞できました。

ルネサンス・フィレンツェ・ボッティチェリという教科書的にスタンダードな美術テーマ・・これをいかに料理するかはキュレーターの腕の見せ所?
といったところでしょう。
期待してしまいます・・

サブタイトル「富と美」からも伺えますがこちらは「フィオリーノ金貨」の鋳造からはじまりボッティチェリの死までという時間軸でルネサンスの舞台をフィレンツェに限って富と芸術との関係を考える
・・というテーマでアレンジされている展覧会。
とても興味深かったです。

まずは「フィオリーノ金貨」について
こちらがそのフィオリーノ金貨。原寸は19.5mm
ボッティチェリとルネサンス〜フィレンツェの富と美(Bunkamura ザ・ミュージアム)_c0366777_19171448.jpg
1252年11月、フィレンツェにて最初のフィオリーノ金貨が鋳造されました。

フィオリーノ金貨について補足しますと・・
「フィオリーノ」という単語はヨーロッパの中で花の都「フィレンツェ」のシンボルとして広まった。
フィオリーノ金貨はヨーロッパの中でフィレンツェのイメージとなっており、その偽造は貨幣の信用を危険にさらし、ひいては共和国経済全体の評判を落とす恐れがあったのである。
フィオリーノ金貨の普及の度合は、英語のフロリン(florin)ドイツ語の(Florin)などさまざまな国でフィオリーノから発生した単語が貨幣単位に使われていた事からも明らかです。
オランダではユーロ導入まで通貨の名称としてフロレイン(florein)が使われ、ハンガリーではいまでもフィオリーノから派生したフォリント(forint)が貨幣単位として使用されている。
(以上 展覧会公式図録より抜粋)

このように、文字通り西洋を席巻したフィオリーノ金貨ですが、
写真を見て頂くと表に百合の花、裏に洗礼者ヨハネの姿が刻印されています。
百合の花は都市フィレンツェのエンブレムで、洗礼者ヨハネはフィレンツェの守護聖人なのだそうです。
こちら現在ユーロ圏で使われている5セント貨くらいの小いささながら24金で3.53gの価値の高い金貨だったそうです。

さてなぜ、フィオリーノ金貨が絶大な影響力を持ち得たのでしょうか?

メディチ家の財力?影響力?

答えは一部は正しくしかし不十分だと思われます。

フィオリーノ金貨が鋳造されたのは1252年。
コジモ・デ・メディチが亡命先から帰郷しフィレンツェの事実上の支配者となったのが1434年。

メディチ家が支配するずっと前からフィレンツェは繁栄しルネサンスは始まっていたのです。
フィオリーノ金貨が鋳造されたころフィレンツェで絶大な力を持っていたのはバルディ家それからペルッツィ家。
この2大有力家系が手を広げていた分野は、金融業(銀行)、手工業、通商と広くもはや財閥と呼べるレベルでした。
クライアントもヨーロッパ全土に及び、イギリス、フランス、ナポリの各王家、そして法王庁が最大顧客でした。
(最も、法王庁は預け入れ、各王朝は借り入れだったと思われますが・・)
バルディ家の融資がなければイギリス王もフランス王も戦争が出来なかったそうです。
すごいですね〜

このころ活躍していた画家はジョット。
フィレンツェのサンタ・クローチェ聖堂内のバルディ礼拝堂のフレスコ画(アッシジの正フランチェスコの生涯)を製作したことで有名ですね。

ところが、
1343年にペルッツィ銀行が倒産。
1344年にバルディ銀行が倒産。
それに代わって、1397年にジョバンニ・ディ・ビッチがメディチ銀行の元を開設。
1420年にはメディチ銀行のジュネーブ支店が開設されメディチ家の躍進が始まります。
このころのフィレンツェの生産性ってどのくらいだと思われますか?

フィレンツェの1市民の生産性が他の地域の封建領主や修道院の所有地で働く人の40倍になっていたとする学者もいるくらいです。
領有する土地の広さなら中程度の国家とするしかないフィレンツェの経済力の方が、フランスやイギリスやトルコを完全に凌駕していたとか・・!!
フィレンツェ恐るべし・・
フィオリーノ金貨がヨーロッパを席巻したのも納得です・・

とは言え、この時フィレンツェにはコジモ・デ・メディチによる専制政治がしかれたいたわけです。
その元でフィレンツェは繁栄した。
歴史家のグイッチャルディ−ニはこう言っています。
「メディチは専制君主だった。しかし好ましい専制君主だった。」と。
このメディチ家による僭主政治が機能していた60年間の間にフィレンツェのルネサンスは最盛期を迎えるのですから。

コジモに関して、特筆すべきは彼が高額所得者であったにもかかわらず「累進課税制度」という公正な課税制度を考えだした事ではないでしょうか・・
しかもその税率も4パーセントから33・5パーセント。
決して高くはないですよね。
専制君主ならいくらでも徴収できるところを・・
現実を直視し時代を読める経済人としての秀でた才能にはただただ感心するばかり・・
コジモあってこそのフィレンツェのルネサンスだったと思います。

さて話を展覧会に戻します・・

この展覧会で興味深かったもの。
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ロレンツォ・デ・メディチの息子ヌムール公ジュリアーノ・デ・メディチが使っていた
算術と幾何学の問題集。
いつの時代も子供はお勉強・・大変ですね・・
問題集にはフィレンツェの商人たちの姿が生き生きとして描かれて当時の商人の風俗が図らずもよくわかります。

お金・・につきまとう汚れた負のイメージは当時から強くあったようで金融に携わる銀行家・その中でも高利貸しはとくに悪いイメージだったようです。
高利貸しを描いた一枚。
ボッティチェリとルネサンス〜フィレンツェの富と美(Bunkamura ザ・ミュージアム)_c0366777_20382268.jpg
なんとも欲深く狡猾に描かれている事でしょう・・

高利貸しではないにしてもメディチ家も銀行家・・巨万の富を持つ事による負のイメージの回復・また階級が定まっていない社会でのメディチ家のイメージ戦略のために
そして何よりコジモ・デ・メディチやロレンツォ自身の魂の救済のため彼らは芸術の為に惜しみなく出費していくのです・・

「罪から逃れたい・・・というのはルネサンスの原動力だった」

と本展覧会では言っています。
とても面白い視点だな〜と思いました。

コジモの孫のロレンツォ・デ・メディチとボッティチェリは大変仲がよくロレンツォはたくさん仕事を注文しています。

さて、展覧会の作品のメインはなんといってもボッティチェリの聖母子像の絵画・・
ボッティチェリとルネサンス〜フィレンツェの富と美(Bunkamura ザ・ミュージアム)_c0366777_21310817.jpg
(「ケルビムを伴う聖母子」サンドロ・ボッティチェリ(絵画の一部)フィレンツェ ウフィツィー美術館所蔵)

展覧会始まって、集中力のおちていない早い段階で迎えてくれる典雅でしかしあどけない聖母・・

そして終盤にボッティチェリの作品群が集められて部屋があり・・
遭遇したのですよ・・
フレスコ画の「受胎告知」
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(「受胎告知」サンドロ・ボッティチェリ(絵画の一部)フィレンツェ ウフィツィー美術館所蔵)

写真は展覧会にあるフレスコ画のほんの一部。
243×555cmの大きさの壁画ですから・・

とても大きな作品です。。
こんな大きなフレスコ画を日本で見られるとは思っていませんでした。

そしてなんと優美なボッティチェリらしいフレスコ画でしょう・・

彼の師匠で女好きのフィリピーノ・リッピの描く聖母がどこか世俗的な表情であるのにたいして女性に縁遠かったボッテチェリの描く聖母はまさに天上の美そのもの・・

風が吹いてくるのです・・
絵画の中から吹き抜けてくる風を感じながら長椅子に座り時間を忘れてフィレンツェ時間に浸りました・・

この優美な空気感はどうぞ、その前に立って味わってくださいとしか言いようのないものなのです・・
そして名画のすごさとは
この優美な風が美術館を出て平凡な日常に戻っても吹いてくる事なのです・・

Bunkamura ザ・ミュージアムは渋谷道玄坂の東急デパートの地下にあり開放的でカフェがあり・・

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隣接する書店には美術関係の雑誌や書籍がたくさんあります。
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ミュージアムショップで購入したお土産は・・
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フィオリーノ金貨のチョコレートとカタログ、フィレンツェ独特の模様を配したデコレーションペーパー。

フィオリーノ金貨のチョコレートはこちらを投稿しながら、食べてしまいました。

だから美術館巡りは止められない♪

(参考文献)
「公式図録 Money and Beauty」
「ルネサンスとは何であったのか」塩野七生


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# by artstable67 | 2015-05-17 22:16 | アート | Trackback(1) | Comments(5)
5月のレッスン
5月のレッスンの一日目が終了しました。
今回は生徒さんがとても綺麗に写真を撮ってくださったのでそちらを用いて投稿します。
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今回はテーブルセッティングのレッスン。テーブルスタイルの種類をご説明し、今回はディナーテーブルのテーブルウエアの選び方、イギリス式とフランス式の違いをご説明し、何故、イギリス式とフランス式の二つがスタイルとしてあるのかを歴史的側面からの考察も交えながらお話し致しました。
リネンとカトラリーとグラスは実際にセッティングして頂きました。

今月のテーブルコーディネートはシノワズリーのテーブル・・
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ヘレンドのシノワズリーの食器のシリーズの中から、黒の西安のミニコーヒーセット。
こちらはポットはコーヒーポットですがカップの口が広がっているのでティーにも使えます。
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シノワズリーとはロココの時代にヨーロッパで流行した中国趣味の総称で、紅茶やティーカップの歴史とも深く関わってきます。

ヘレンドの黒の西安はマンダリンが取手に付いたものが人気ですがこちらは取手にピンクの薔薇があしらわれ大変珍しく、シンワアートオークションのカタログで一目惚れして落札したものです。

お皿はバカラのアラベスク。テーブルリネンはガルニエ・ティエボー。

お花は先日のお花の教室のすずらんのアレンジそして、ピンクの胡蝶蘭、ピンクの芍薬
と柳の枝を飾り、中国庭園でお茶をしているイメージでセッティングしました。

エルメスの香水・・李氏の庭・・中国的なものをイメージの世界で表現した架空の中国庭園・・揺れる柳の枝と鮮やかで馨しく咲き乱れる花・・
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テーブルイメージで
準備した料理は、ホタテとグレープフルーツの亜麻仁油ドレッシング
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もち米シュウマイ
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トウモロコシと白キクラゲのスープ
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水なすと挽肉味噌の和えそば
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デザートは烏龍茶プリンとエッグタルトをご用意しました。
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エッグタルトはタルト生地とパイ生地とどちらにするか迷いましたが今回はパイ生地(パート プリゼ)で作りました。

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お茶は食事中はプーアル茶をデザートタイムは烏龍茶を御出しし、シンガポールを旅行された生徒さんがお土産にくださったTWGシンガポール店にしか売っていない「JADE DRAGON」というフレーバー緑茶、最後にラプサンスーチョンを召し上がって頂きました。
参加してくださった生徒さん同士が楽しそうに会話され、喜んでかえって頂けるのを拝見するのが何より嬉しいと心から思った一日でした・・

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# by artstable67 | 2015-05-15 00:14 | 自宅レッスン | Trackback | Comments(0)
スズラン

実はお稽古大好き・・今日はお花のレッスンを受けに行きました。
テーブル花のレッスンです。
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こちらは先生のお宅の薔薇が咲き乱れるお庭です。
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今日のレッスンは北海道産の小粒で可憐なすずらんを使ったアレンジです。

こちらはレッスンでアレンジしたものではなくアトリエのダイニングのテーブル花です。
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レッスンの後はスズランをふんだんに飾ったテーブルでイタリアンのフルコースをいただきました。
こちら「Bon Chic」にも度々紹介された福岡市内のサロンですが今は残念ながら生徒募集なさってません。

スズランの香りって夏の海岸に置き忘れたキャンディーが溶けたような香り・・



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# by artstable67 | 2015-05-11 19:35 | お稽古 | Trackback | Comments(0)
日本橋ラペ
再訪したいフレンチレストラン 日本橋ラペ。
(備忘録ですが・・)
日本橋ラペ_c0366777_00564543.jpg
メルヴェイユの松本シェフが独立して昨年10月にオープンしたばかりのフレンチのレストラン。
日本橋三越から歩いて5分というロケーションもいいですね。
私が訪れたのは2月でランチタイムでしたが、どうしても頂きたい一皿がありましたのでディナーのメニューをオーダーしました。

その頂きたかった一皿(一箱?)はこちら
その名も’日本橋ゴーフレット’
日本橋ラペ_c0366777_01030118.jpg
風呂敷に包まれて運ばれてきます。これは丁度風呂敷をほどき缶の蓋をとったところ・・・
ワクワクしてしまいます。
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フォアグラのパテに紀州大根とイチジクジャムを合わせ、ゴーフレットで挟んだもの。
プレゼンが楽しいだけでなくお味もとてもいいのです。
こちらのレストランのスペシャリテですね・・

その他のお料理は・・
日本橋ラペ_c0366777_01085920.jpg

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こちらはデザートです。
植木鉢が出てきてびっくりしましたが、スコップですくって手前のお皿に移して頂きます。
日本橋ラペ_c0366777_01150004.jpg
すべて楽しく美味しく、気持ちの良い接客にも感激しました。
帰りはシェフも見送ってくださり・・

ランチもコスパ高いようで満席でした。
ぜひ予約してお出かけくださいね。

真夜中にお腹が空いてしまってこんな投稿になってしまいました・・

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# by artstable67 | 2015-05-08 01:27 | そとごはん | Trackback | Comments(0)
李氏の庭
友人のお誕生日のプレゼントを買いました。
エルメスの新作の香水 ’李氏の庭’
李氏の庭_c0366777_18434380.jpg
JARDENシリーズの最新作です。
このシリーズはとくに「ナイルの庭」が好きでした・・
友人のお誕生日プレゼントに頭を悩ましていた時立ち寄ったショップで試香させていただき、そのあまりの麗しさに即決してしまいました。

エルメスは香水に関して詳しい調香のコンテンツなどは詳らかにしておらず、イメージだけをプレゼンしています。
それによりますと・・

(「エルメス 公式サイトより」)

「今年のエルメスのテーマは「フラヌールーいつでもそぞろ歩き。」テーマに導かれて専属調香師のジャン=クロード・エレナが向かった先は中国。

「池の匂い。ジャスミンの香り、湿った小石の匂い、スモモや金柑の木、巨大な竹林の香りを記憶をたどって思い浮かべました。
花椒の茂みはバラのような棘を持ち、その葉はレモンのような香りを漂わせていました。
わたしに残された仕事は、他の全ての要素も織り込んで、新しい庭を作る事だけでした。」

パッケージには現代アート作家、リ・シンによって繊細なグレーの濃淡による墨の川が描かれ、
黄河を思わせる`皇帝の黄色`ボトルを引き立てている・・・」
とのこと


実際つけてみますと、
トップノートは庭園に吹き抜ける風のような爽やかな香りが、
ミドルノートは柑橘系の、
そしてラストノートはジャスミンの甘い香りがいつまでも記憶の底に残る切ない思い出のように沈殿していきます

感性豊かでお洒落な友人に喜んで頂けると嬉しい。。
プレゼントを贈る時はいつでも少しドキドキしますね・・
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# by artstable67 | 2015-05-05 19:04 | ファッション | Trackback | Comments(0)
  

食空間プロデューサーの山野舞由未です。
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