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聖プラクセディス(国立西洋美術館)
先週の土曜日、渋谷のBumkamura ミュージアムを後にして足早に向かった先は国立西洋美術館
聖プラクセディス(国立西洋美術館)_c0366777_23434345.jpg
こちらに伺った目的は・・
驚いた事に・・
先日投稿したロンドンのクリスティーズでアジア風のコレクターによって11億円で落札されたフェルメールの聖プラクセディス、国立西洋美術館に寄託されていたので・・
聖プラクセディス(国立西洋美術館)_c0366777_23475941.jpg
それを観るためです。

ほとんどマスコミなどで取り上げられる事もなくひっそりと3月から常設展で公開されています。

こちらの作品、先月の投稿でも書いていますが、フェルメール作品か否か長い間論争が繰り広げられていたのですが、アムステルダム国立美術館とアムステルダム自由大学の白色の顔料の科学判定で、フェルメール作品である・・との可能性が限りなく高い・・いやまさにフェルメールの作品だとも言われたのですが・・

異論を唱える美術史研究家が多数いるとかで・・

そもそも聖プラクセディスはオリジナルはイタリアのフェリーチェ・フィケレッリによるものです。それを歴史画家をめざしていた初期のフェルメールが模写したものではと言われています。
聖プラクセディス(国立西洋美術館)_c0366777_00045372.jpg
右がフェリーチェ・フィケレッリのオリジナル
左がフェルメール模写されたといわれる本作品「フェルメールに帰属」の文字が見えます。

フェルメール作に異論を唱える修復家ヨルゲン・ヴァドムによると、
模写ならば手前の重要なモチーフから画面奥へ順番に描いて行くのに対し、こちらはそういった手順で描かれていないと・・確かに画面手前の壷はよく見ると左の取手などの部分が赤い衣の上に描かれており赤い衣が先に描かれた事がわかります。
こうしたことから、本作こそがフェケレッリのオリジナルであるという見解を示しています。

フェルメールの初期作品については、残存する資料が少なく多くの事が謎に包まれています。
いつか、聖プラクセディスが「帰属」などどいう曖昧な表現から解き放たれる日がくるのでしょうか。

さて、「彼女」との対面にドキドキしながら・・
前日に国立新美術館でフェルメールの真作である「天文学者」を見たばかりの状態で訪れた国立西洋美術館常設展。

「天文学者」の人だかりに比べて「聖プラクセディス」の前には立ち止まる人も僅か・・・


生々しい・・


この絵を見た第一印象でした。
ドレスの色も聖プラクセディスの頬の色もとても赤く、血のしたたる布を絞る手元からも生々しい印象がぬぐえません。

ですが・・

美術史研究家でもなんでもないただのフェルメールファンとしてですが
この作品は やはりフェルメールだと思うのです・・

それは前日の「天文学者」にも見た左上からの光が右下に向かって深く差し込んでいるかのように見える光の表現が「天文学者」と全く同じだ・・
と感じたからです。

真作か否かよりこの絵画の悲しみは・・
日本人かと思われる「アジア風のコレクター」が11億円で落札しながらもこれを手元に置かず手放したことではないかしら・・

そんなことを考えながら新緑の美しい上野公園を後にしました・・
聖プラクセディス(国立西洋美術館)_c0366777_00325419.jpg
皆さんも機会があればぜひご覧になって意見を御聞かせくださいね。


by artstable67 | 2015-05-27 00:38 | アート | Trackback(1) | Comments(0)
ルーブル美術館展 日常を描くー風俗画に見るヨーロッパ絵画の真髄
先週の金曜日の事ですが、国立新美術館で開催中の「ルーブル美術館展」へ行ってきました。
ルーブル美術館展 日常を描くー風俗画に見るヨーロッパ絵画の真髄_c0366777_01435538.jpg

今回の目玉はなんといってもフェルメールの「天文学者」が来日する事でしょう。
金曜日、平日ではありましたが、かなり混雑している館内の様子です。
ルーブル美術館展 日常を描くー風俗画に見るヨーロッパ絵画の真髄_c0366777_00195720.jpg
上階ではマグリット展が開催されていました。
こちらが入場口。
ルーブル美術館展 日常を描くー風俗画に見るヨーロッパ絵画の真髄_c0366777_00222307.jpg
世界一有名な美術館といっても過言ではない「ルーブル美術館」の膨大な絵画コレクションからどのようなテーマで展覧会がアレンジされているか・・気になるところですよね。
今回のテーマは「風俗画に見るヨーロッパ絵画の真髄」

「風俗画」とは絵画ヒエラルキーの中どのような位置づけかご存知ですか?
そもそも絵画ヒエラルキーとは?

絵画ヒエラルキーの中に於ける「風俗画」について少しだけ補足しますと・・

ヨーロッパ絵画の伝統の中で既に、宗教的神話的モチーフを素材にした「歴史画」に重きを置く風潮はありましたが、はっきりと歴史画優位の絵画観を打ち出したのはフランスのアカデミー名誉顧問を務めた美術理論家、アンドレ・ファビアン。
ファビアンは1668年に刊行された「1667年の王立絵画彫刻アカデミー講演録」の序文に於いて絵画の主題を論じる中で
「歴史」と「物語」を扱った絵画・次いで「肖像画」「風景画」「動物画」「果物・花々・貝殻」という順番で序列をつけました。
そして当然のごとく、そこには些末な日常の情景は含まれていなかったのです。
もちろん、ファビアンが言及しなかったからといって日常生活の絵画が存在しなかった訳ではありません。

そんな絵画ヒエラルキー的には下位に属する「風俗画」に焦点をあて、古代ギリシャの壷の絵画からはじまる展覧会テーマは「風俗画」というアングルからしか見えて来ない絵画史の側面が伺われて興味深く勧賞しました。
なお、「風俗画」とは日本特有の言い回しだそうで、フランスをはじめとするヨーロッパの絵画史の中では「ジャンル画(peinture de genre)」として身近な日常生活に題材を得た絵画を総称するのだそうです。

展覧会の作品の中から抜粋して・・

こちらは古代ギリシャの壷「ぶらんこの画家(黒像式頚部アンフォラ)」
ルーブル美術館展 日常を描くー風俗画に見るヨーロッパ絵画の真髄_c0366777_00583065.jpg
およそ紀元前525年から紀元前520年に作成されたもの。
一見すると優雅な若い女性が子供が動かすブランコに乗り、その脇に立った男性たちがそれを見守る・・という日常の再現に見えます。
アンフォラを反対側から見ると・・・
ヘルメスとヘラクレスがアルケスティスを冥界から救出している場面が描いてあり、こちらも神話の一場面だということになります。
英雄のドラマを描くことと日常のシーンが出会い図らずも当時の日常生活をかいま見る事ができた例でしょう。

それから今回の展覧会の主役作品
フェルメールの「天文学者」
ルーブル美術館展 日常を描くー風俗画に見るヨーロッパ絵画の真髄_c0366777_01095742.jpg
(公式図録の表紙になります。)
ルーブル美術館には2点フェルメール作品がありそのうちの一点がこちら「天文学者」

フェルメールの作品は「風俗画」といえど寓意がたくさん隠されており。それを読み解くには教養が必要とされる事から、ただの「風俗画」よりは格上の作品とされています。
「天文学者」では背後の壁にかけられたピーター・レリの「川から救われるモーセ」が作品に象徴的な意味を与えると見なされ、約束の地に導く
ヘブライ人の精神的指導者であるモーゼを、天文学者によって探索される精神的方角への暗示と解釈するそうです。

実際に拝見して。。
さすがに人が多く並んで順番待ちで絵画の前に立てる感じ・・
立ち止まる事はできません。

思ったより小さい絵画です。
印象的だったのは左斜め上から差し込む光が天文学者の衣服のずっと下(右下)まで描き込まれており、図録や写真で見るよりずっと明るく光の印象が強い絵画なのです・・

薄暗がりの中に深く差し込んで行く柔らかい光です・・

フェルメールが描くと「風俗画」も静謐で高尚な空気感を醸し出します。

「天文学者」に後ろ髪を引かれながら実はもうひとつ見所が今回の展覧会にはあるのですが・・

長くなりそうですのでそれはまた後日・・

こちらの展覧会6月1日まで・・ご覧になりたい方はお急ぎくださいね。

by artstable67 | 2015-05-25 01:41 | アート | Trackback(1) | Comments(0)
聖プラクセディス
昨年NHKのドラマ10の「聖女」という広末涼子さん主演のドラマが放送されていましたが、そのドラマのストーリーではなく、主人公がいつも飾っていた絵画の方に目を奪われました。
こちらがその絵画。タイトルは「聖プラクセディス」
あの「真珠の耳飾りの少女」を描いた事で有名なフェルメールの作品なのです。
ドラマの中ではマリア様として拝まれているようですが、こちらは赤いドレスを着た聖人。
殉教者の身体を清めた後、スポンジにしみ込んだ血を聖なる壷に絞っているところ。
聖プラクセディス_c0366777_09283389.jpg
このローマ時代の聖人を描いた油彩はずっとフェラーラ出身の画家フェリーチェ・フィケレッリの作品と思われていました。
それがフェルメールの油彩であると最初に指摘されたのが1969年、ニューヨークのメトロポリタン美術館でイタリアのバロック絵画の展覧会が開かれた時でした。
「Meer 1655」と書かれたサインが見つかり、それ以来、フェルメールかフィケレッリかの激しい論争が始まる事になりました。
その長い論争に決着を付けたのは現代科学の力。
アムステルダム国立新美術館とアムステルダム自由大学で行われた科学鑑定により、当時ヨーロッパ全土で使われいていた鉛白に注目してこの油彩を分析したところ、その成分から北ヨーロッパ産であることが判明。
また当時のオランダ絵画に使用された鉛白の成分とも一致し、さらにはフェルメール同時期の油彩「ディアナとニンフたち」の成分とも見事に一致し、フェルメールの真作であることが確定したのです。
彼の代表作である「真珠の耳飾りの少女」のターバンにも惜しげなく使われているラピスラズリを材料とする高価な顔料ウルトラマリンを背景の空にふんだんに使っているところや、聖人ながらほのかに色気がある少女の表情はまさにフェルメールのテイストそのものです。
しかもこの絵画、もともとたった37点しかないフェルメールの作品のうち個人所蔵され一般の人が見る事が出来ない2点のうちの一つなのです!
そんな曰く付きの絵画が昨年ロンドンのクリスティーズのオークションに出品されました。
出品者はあのベビーオイルの米大手医薬品会社ジョンソン・エンド・ジョンソンの
息子の妻(なんともったいないことでしょう!私ならば絶対手放しません。)

世界中の美術愛好家の目が釘付けになったオークションの様子がこちらです。
聖プラクセディス_c0366777_09500624.jpg
最終落札額は624万ポンド(約11億円)。
前評判に反して、推定評価額にやっと達した程度だったそうです。
聖プラクセディス_c0366777_10002712.jpg
会場で最終落札をしたのはアジア風のコレクター。。その素性は不明。
ミステリアスなフェルメールの作品にふさわしくまた個人のコレクターの手に渡り、私たちの目の前から姿を消したかと思いきや・・
この絵画は私たちが予想だにしなかったところで再び公開されるのです・・

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by artstable67 | 2015-04-25 10:20 | アート | Trackback(1) | Comments(0)
  

食空間プロデューサーの山野舞由未です。
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